2024年4月7日掲載

Bill Evans
The Paris Concert Edition Two
Elektra原盤
1979年11月録音

 ビル・エヴァンスが亡くなったのは、1980年9月15日のことでした。そしてその死後に、数多くのライブ音源が発売となり、それは今に至るまで続いています。その中で特に評判高い演奏の一つが、1979年11月のパリでのライブ演奏であります。1983年に第1集が発売され、翌1984年に、今日取り上げる第2集が発売されました。

 マーク・ジョンソンとジョー・ラバーベラとのトリオ演奏で、このメンバーとはスタジオ録音を残さなかっただけに、このライブは貴重なものです。

 「My Romance」や「Beautiful Love」などの印象深い演奏の第1集、そしてこの第2集は17分を超えるエヴァンスの重要レパートリーである「Nardis」の熱演が評判となっています。

 このライブ盤の収録はフランス国営放送が収録したもので、場所はエスパス・カルダンです。Wikipediaによればこの場所は1841年に再建されたもので、その中の劇場は673席とのことです。

 その会場での1979年11月26日の演奏は、ビル・エヴァンスのピアノ演奏を最大限に引き立てるように、ベースとドラムスが存在しているものです。

 特に目玉の「Nardis」では、そんなトリオ演奏の魅力が、星々輝く夜のようにこの劇場に舞い降りたようです。この曲は、エヴァンスが参加した1958年7月のキャノンボール・アダレイのリーダー・セッションのために、マイルスが提供した曲です。そしてエヴァンスはこの曲を、その後の20年以上の間、演奏し続けたのです。まだまだ世間ではエヴァンスの知名度が無かった時から、ジャズ・ピアノの巨星となってまで、エヴァンスはこの曲を愛し続けました。

 エヴァンス晩年のこの演奏を聴いていると、エヴァンスが音楽活動のいろんな場面を思い浮かべながら、エスパス・カルダンでピアノに向かっていたのかなと感じました。