2022年1月10日掲載

Sonny Stitt
plays arrangements from the pen of Quincy Jones
Roost原盤
1955年9月録音

 ディスクユニオン関内店中古CD半額セールで、300円で購入した作品です。

 1940年代から活躍していたアルト奏者のソニー・スティットが、プレスティッジからルーストに所属レーベルを変えての第一弾に「Sonny Stitt の plays arrangements from the pen of Johnny Richards」という作品がありました。私は聴いたことがない作品ですが、タイトルからしてジョニー・リチャーズが編曲して、ビッグバンドをバックにしてのスティットの演奏だったのでしょう。そしてその作品が好評だったとみえて、それから2年後に今度は新進気鋭のクインシー・ジョーンズにアレンジを任せて、本作品が制作されました。

 ジャケットには、センスの良さが光っていますね。

 この作品の制作時点では23歳のクインシー・ジョーンズですが、何をすべきかをきちんと心得た上で、生まれ持ったセンスを活かしてのアレンジを行なっています。スティットのアルト・サックスを活かすバックに徹したアレンジ、またその次にはスティッがメインの曲を活かすためにビッグバンドを全面に出したアレンジを行うあたりに、クインシーの目的意識とセンスの高さが輝いています。そのクインシーが作った環境の中で、スティットのアルト・サックスの輝きが光った演奏と言えるでしょう。

 1曲目の「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」ではスティットの歌心に感じ入り、2曲目のスティット作の「ソニーズ・バニー」ではビッグバンドの切れ味を堪能し、3曲目の「降っても晴れても」ではスティットの表現力の妙をたっぷりと感じ入るといった内容です。

 スティットほどの方ならば”代表作”と呼ばれる作品はいくつもあるのでしょうが、国内盤CDの解説にあるように、この作品をスティットの”代表作”する方々が多いというのも、頷ける作品です。