Jutta Hipp with Zoot Sims
Blue Note原盤
1956年7月録音
ディスクユニオン関内店中古CD半額セールで、300円で購入した作品です。
「ユタ・ヒップの緑のブルーノート」との愛称が、この作品につけられているらしい。ジャズ批評別冊「全ブルーノートブック」は1984年に発売され、瞬く間にジャズファンの必携書となった。東芝EMIがブルーノート国内発売の権利を得て、1500番台を番号順に発売するという快挙を行った直でもあり、瞬く間に人気書となった。先の「緑の・・・」はこれには書かれていないが、1999年に発売されら改訂版にそのように書かれている。改訂版が発売されるまでの15年間にそのような愛称となったのかと思いながらも、私はこの本以外では、一度もそのような愛称に接したことがない。
アルフレッド・ライオンは、人気テナー奏者ズート・シムズのリーダー作品を作りたかったが、ストリーヴィルとの専属契約があるズートを借りることは出来なかった。そこで実質ズートのリーダー作を作るべく、ライオンがドイツから招き世話をしていたユタ・ヒップ、この年に入ってからヒッコリー・ハウスに出演していたユタ・ヒップのリーダー作品に、ズートを加えたのであった。しかしカルテットでの演奏では”余りにもあまり”と考え、ジェリー・ロイドというトランペット奏者を加えてクインテットで、ライオンは本作品を制作した。
これは私がジャズ聴き始めの時に、聞いた話である。
熱量満載でアップテンポで迫るズート作の「Just Blues」、美しく悲しいスタンダード「Violets For Your Furs」、ジェリー作のビバップの楽しさ溢れる「Down Home」の三曲が並ぶA面が素晴らしいです。その演奏はやはりズートのサックスが響けば、彼の世界になってしまいます。しかし硬質でリズミカルなユタ・ヒップのピアノにも聴き所が多くあり、その面でも楽しめるものです。
ちなみにズート・シムズは1960年にベツレヘムで、アルバム「ダウン・ホーム」を制作します。そこにはこのブルーノートのセッションで演奏された同名曲は収録されませんでした。