2021年8月5日掲載

Avisyai Cohen
Into The Silence
ECM原盤
2015年7月録音

 トランペット奏者のアヴィシャイ・コーエンの8作目は、ECMでの制作となりました。(Wikipedia)

 Bill McHenry(ts), Yonathan Avishai(p), Eric Revis(b), そして Nasheet Waits(d)とのクインテットでの演奏です。

 ブックレットにはスタジオでの録音風景の写真が16枚掲載されていますが、どれもが緊張感あふれる瞬間を切り取ったものです。
イラストかと思うジャケは、Caterina di Perri による写真です。この写真家のwebサイトを見ますと、本作のジャケと同じ流れの写真が並んでいます。どれもが自然の輝きと移り変わり、そして厳しさをとらえたものです。

 1曲目は「Life And Death」、アヴィシャイのミュート・トランペットが静かな流れを作り、メンバーがそれに続く展開であり、最後の場面でその流れが一転する演奏内容です。この曲を聴くだけで Caterina di Perri の写真が頭の中に映し出され、それは全てアヴィシャイの手による全6曲で同じことでした。

 アルバム名になっている3曲目では、遠くから大地を揺さぶる響きが現れ徐々に近づいてきて、それがさっと去っていく、こんな自然の流れを描いています。この中での場面転換では、サックスのビル・マッケンリーとピアノのヨナタン・アヴィシャイが光った演奏をしています。アヴィシャイ・コーエンのトランペットは、常に足元にある大地の存在を描いているかのようです。この曲だけではなく全ての曲で、メンバーの結びつきが確認できるものです。

 恐らくはこのアヴィシャイ・コーエンには、音楽で表現したいことがたくさんあるのでしょう。その一つがECMという土俵の上で、見事に花開いた作品です。