2021年6月9日掲載

Jack DeJohnette
Sound Travels
Entertainment One Music原盤
2011年録音

 2013年録音の「Made In Chicago」(2018/12/2)、2017年録音の「Hudson」(2021/3/8)を聴いて、2010年に入ってからのディジョネットも良いではないかと実感し、今日取り上げる2011年録音作品を購入しました。

 この作品ではディジョネットは、本業のドラムス、ほぼ本業かもしれないピアノ、そしてヴォーカルも披露しているようです。曲によって参加メンバーが変わっています。そのメンバーについて簡単に触れます。

 トランペットの Ambrose Akinmusire は2000年代に入ってからプロ活動を始め、この作品制作の時点では注目のトランペッターでした。
 サックスのティム・リーズは、私にとってはストーンズのサポート・メンバーとして身近な人であり、この「今日の1枚」でも彼の2作品を取り上げてきました。
 ギターの Lionel Loueke は、西アフリカのベナン出身で、プロとして2000年代から活動しており、ブルー・ノートからリーダー作も出しているとのことです。
 同じくベースの Esperanza Spalding は1984年生まれの女性で、10代の頃から活動している方で歌手でもあり、7枚のリーダー作を出している方とのことです。
 パーカッションとヴォーカルで参加している Luisito Quintero は1967年生まれのベネズエラ人で、NYを中心に幅広い活動を行なっている方とのことです。
 ピアノにはこのコーナーではお馴染みの Jason Moran が参加しており、また説明不要の歌手 Bobby McFerrin と Bruce Hornsby も参加しています。

 ベテランも中堅も参加していますが、勢いの良い若い人を積極的に加えたメンバーと言えるのでしょう。

 ラテンアメリカの音楽の風合い感じる演奏で、軽快さを楽しめる作品です。

 6曲目にあるタイトル曲は2分弱と短いものですが、ギターのリオーネル・ルエケのリズム感が音の広がりを感じさせ、なんとも軽やかで爽やかな気分になるものです。そしてその前後の曲も良いもので、5曲目の「Sonny Light」ではサンバの熱が伝わってきて、ここでもギターのルエケ、そしてトランペットのアンブローズ・アキンムシーレの快演が聴けます。6曲目の「Oneness」ではマクファーリンのヴォーカルと、ルイシート・キンテーロのパーカッションが、静かでありながら体が浮かんでいるような不思議な気分にさせてくれるものです。

 ディジョネットは重ね録りでドラムとピアノで作品の土台作りをし、勢いの良いミュージシャンの良さを引き出し、軽快ながらも中身のある作品を作りました。
 ディジョネットに伝わってきた素敵な音の響きを集めた演奏、改めてアルバム名の意味を考えたら、こんなことが頭に浮かんだ作品でした。