Anat Cohen & Trio Brasileiro
Rosa Dos Ventos
Anzic原盤
2016年12月録音
この作品ではクラリネットを吹くアナット・コーエンが、Douglas Lora(7 Strings Guitar)、Dudu Maia(10 Strings Bandolim)、Alexandre Lora(Pandeiro, Hand Pans, Percussion) の三人からなる Trio Brasileiro と共演した作品です。
この三人組は、ブラジルのポピュラー音楽のスタイルの一つであるショーロを演奏している方々です。ウィキペディアによればショーロは、「19世紀にリオ・デ・ジャネイロで成立した」「即興を重視した音楽としてはジャズよりも歴史が古い」とのことです。このショーロから影響を受け、ボサノバやサンバの誕生に繋がったとのことです。
アナット・コーエンは以前からブラジル音楽と関わりがあったようなので、この共演も当然なのでしょう。
1曲目は、Douglas Lora作の曲ですが、テンポ早い演奏の中で、このユニットの魅力をたっぷりと聴かせています。ギター二本と打楽器による軽快さと音の重なり、そしてアナットのクラリネットがそよ風のように加わっていきます。アナットさんの魅力の一つは、どのようなメンバーとの演奏でもその色に合わせながら、自分の個性を発揮するところなのでしょう。
7曲目にあるタイトル曲も、Douglas Loraの作です。フラメンコ風で始まり、幾つもの雰囲気を繰り出していく凝った作りです。Trio Brasileiroの重厚でいながら舞っているようでもあり、彼らの魅力全開の演奏で、船上パーティの姿が頭に浮かびました。この曲名をGoogle翻訳したた、「風配図」とのことで、これをウィキペディアでみましたら、「ある地点のある期間における、各方位の風向および風速の頻度を表した図」とありました。風の動き、演奏につながるものを感じました。
Trio Brasileiroを知ったこと、アナットの多彩なスタイルに接したこと、そしてギターのサウンドを堪能できたこと、私にとってはありがたい作品です。